インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティング

アウトバウンドマーケティングとインサイドマーケティングという対義語、ご存じですか。

観光戦略や地方創生の文脈で使われる、外国人旅行者が日本を訪れること(訪日旅行)を指す「インバウンドビジネス」「インバウンド消費」とは異なります。

ここでいう「インバウンド」とは「入ってくる、内向きの」の意味です。企業が自ら情報発信を行うことで、興味のある見込み客から自発的にアプローチしてもらうというプル型のマーケティング手法(営業手法)のことです。

まるで、美味しい蜜を持つ花に蝶や蜂が勝手に群がるように寄ってくる。それがインバウンドマーケティングです。

インサイドマーケティングとアウトバウンドマーケティング
インサイドマーケティングをたとえるなら蜜に引き寄せられる蝶

ここでは、両者を比較してみてみます。

インバウンドマーケティングアウトバウンドマーケティング
ってなに?顧客が欲しい情報、顧客の課題を解決するような情報をブログ、オウンドメディア、SNSなどで発信することで見つけてもらい、興味を持ってもらうことで最終的に自社製品やサービスの購買につなげる顧客本位のマーケティング(営業手法)/Pull型営業

現代の消費者はインターネットの普及によって情報過多の状態にあり、欲しい情報はいくらでも自分自身で探せます。ターゲットに嫌われにくいアプローチであるインバウンドマーケティングが注目されています。
電話営業、飛び込み営業、ダイレクトメールなど、売り手・企業本位で行われる一方的なマーケティング(営業手法)/Push型営業
具体的にはSEO(検索エンジンからの流入)、ブログ、メルマガ、動画コンテンツ、ウェビナー、PR(パブリックリレーションズ)、SNS(ソーシャルメディア)、口コミ、バイラルマーケティング、コミュニティづくり、本、出版
電話営業、飛び込み営業、ダイレクトメール、展示会・セミナー,有料メールサービス、屋外広告、マス広告(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)、バナー広告、ディスプレイ広告、コンテンツ連動型コンテンツ、ポップアップ広告、ポップアンダー広告、ソーシャルメディア広告、動画広告
メリット【1】顧客に嫌がられにくい
テレマーケティングやダイレクトメールのような情報の押しつけによって悪い印象を持たれる可能性が低く、適切な情報提供によって囲い込みが可能です。

【2】高い費用対効果が望める
マス広告(アウトバウンドマーケティング)とちがい、自社メディアでの情報発信が基本。また、ユーザーが自ら自社サイトにアクセスしてくるため、集客にかかるコスト・制作コストも低予算で済みます。

【3】顧客データが豊富に取得可能
Webサイトやブログ、ソーシャルメディア、メール等のデジタルチャネルを活用するインバウンドマーケティングでは、どのような人が情報に接し、どのようなアクションを取ったのかを把握することができます。解析ツールを導入することで訪問者の行動も分析できます。

【4】制作したコンテンツを蓄積・資産化できる
有益なコンテンツをWeb上に残し続ければ、顧客のリピートを促進し、継続的に集客を続けてくれます。ブログやソーシャルメディアの投稿、製品・サービスのコンテンツはWeb上に半永久的に残り、資産化が進みます。

【5】営業活動のモチベーションが得やすい
アウトバウンドマーケティングよりも購買意欲が高い見込み顧客の獲得がしやすいため、リード情報を獲得した後は、自社の戦略に合わせてナーチャリングプロセスを実施できます。
【1】不特定多数にアピールできる
不特定多数へのアピールが可能です。幅広いターゲットを想定している戦略であれば、消費者からの認知度を一気に高める可能性が非常に高い手法です。
デメリット▼1】企業自ら売り込むのでなく、ユーザーに見つけてもらうことを主眼に置いたインバウンドマーケティングでは、実際にユーザーに見つけてもらうまでに時間がかかる場合があります。

マーケティング方法を誤ると、一向に消費者に見てもらえないリスクもありえます。そのため、より高い効果が得られるように常にPDCAを回し、改善・改良する必要があります。

なお、改善の余地があるというのはメリットと捉えてもよいと思います。
▼1】顧客に嫌がられる可能性
テレマーケティングやダイレクトメールのような情報の押しつけによって悪い印象を持たれる可能性が発生します。

▼2】費用対効果が高いかは疑問
マス広告(アウトバウンドマーケティング)、Webメディアへの出稿は多額のコストをかけて不特定多数を対象に実施するケースが多く、必ずしも大きな効果が期待できるとは限りません。当然ですが、費用投下をやめる(出稿をやめる)と効果も止まります。

▼3】費用投下と効果が正比例
あきれるほどの情報過多の現代。広告に関していえば、いくら出稿量を増やしても、確実にターゲットに届くとは限りません。また、広告コンテンツは契約期間が来たら、消えてしまいます。

▼4】広告制作費がかかります
マス広告や動画広告など、外注制作費が発生する場合は、つくりかえるたびに費用が発生します。(自社メディアの場合は、そのコストがマス広告等に比べると格段に安くできます)

なお、アウトバウンドマーケティングが全くダメということではありません。目的によって両者を使い分けたり、それぞれのデメリットを相互に補完することもできます。

たとえば、見込客(リード)の課題や、ニーズがすでに顕在化している場合は、インバウンドマーケティングでリードの方からコンテンツ(LP、商品ページ)を見つけてもらいやすわけです。一方、課題やニーズが潜在的な場合は広告などのアウトバンドマーケティングの方が最初の一手としては効果を生むかもしれません。

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