立川笑二(再開)独演会@上野広小路亭


次回は2/19(火)

立川笑二(再開)独演会@上野広小路亭


立川笑二:「初天神」

立川笑二:「花見の仇討」

―仲入り―

立川笑二:「お直し」


今夜は書くよ。書かずにはいられない。そんな興奮の一夜。




2年ぶりの上野広小路亭での独演会。待ってましたよ、まじで。開口一番、「待ってました!」って声かけりゃよかったよ。まじでまじで。


そんくらい待ってましたの独演会。2年ぶり。その間、まったく仕事してなかったわけじゃないから、冬眠していたというのはちと違うけど、2年ぶりの眠りから完全に目覚めた感のある、生き生きとして、溌剌として、アクティブ、ポジティブな、前向きなプラスエネルギーを感じる良い高座でした。ニュー笑二、ネオ笑二、笑二覚醒期、第三期笑二全盛期。なんと称してよいか迷うほどに脂が乗ってた、3席とも。


開口一番。まずは2年間の振り返りから。沈黙期について。


11年間付き合った彼女と別れた理由と、それが明るみに出た一門会での大喜利話、大阪遠征のときの浪曲師・真山隼人さん(若干23歳で、笑二さんよりも芸歴は上で、しかも平成30年度・第73回文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞受賞者!)との面白話。


一席目は「初天神」。河童の件を短くカットしたり、団子の蜜の部分でサゲるなど時間の関係で短めに。時間が許せば、笑二さんの本寸法(フルバージョン)を聞いてみたい。


顔があどけない笑二さんは子供役が似合う。なので、金坊のこまっしゃくれた感がいちいち可笑しい。笑いの連続。だが、笑二版初天神の真骨頂はお父ちゃん。


お父ちゃんが団子を1個喰っちゃう辺りに笑二さんなりのネタに対する矜持を見た。「誰のとも違う、俺なりの初天神だ!」って感じの。


二席目はネタおろしの「花見の仇討」。これも笑二さんが演るのだからオーソドックスであるわけがない。古典らしい、落語らしいブラックユーモアがキーエッセンス。


噺には登場しないのだが金ちゃんエピソードが秀逸!巡礼兄弟を演じての仇討云々がこのネタの軸なわけですが、そんな出来事よりも金ちゃんが主役にすら思えるほどに!金ちゃんに会いたい!


この人は構成作家としてもやっていけるのではないだろうか。と思わせるほどにストーリーづくりが上手いし、噺家としてストーリーテラー資質も抜群。とにかく半端ないって!笑いの構成力が半端ないって!古典をガラガラポンにして、また再構築するスキルが半端ないって。流石は談笑一門。談笑師匠とはまた間違う再編成能力。アレンジ力。目の付けどころ。


ツイッターで「『花見の仇討』が稽古をするほど短くなっていき、とうとう20分を切ってしまった」とあったが、さもありなん。もともと、そんなに大して盛り上がる内容盛りだくさんの濃い噺ではないのだ。そこに金ちゃんエピソードを(柱として?)据えることで、キュッと世界とストーリーが鮮明になったのだと思う。掛け続ければ続けるほどに面白くなるに決まってる。



最後は「お直し」。正直、廓噺の中でも、なんというか女郎、身売りの際たる話なので、聞いていて気持ちよくなることはないし、「古典落語らしくて楽しめる」なんて印象もない、酷い表現をすれば、積極的に聞きたくなるようなネタではない。


のだが。


のだが。笑二バージョンは違った。


やはり、笑二さんとしても同じような気持ちだったのではないだろうか。「このまま演ってもおもしろくはできない」とかなんとか。


笑二バージョンというか、笑二式というか、アレンジを超えた感じで再構成、再編集されていた。スクラップ&ビルド。


あれを聞いていたお客さんは気持ちを上に下にぶんぶん振り回されたはず。だからその分、エンディングで(サゲではない)、あんなにカタルシスが堪能できたのだ。感情の起伏、落差が大きかった。つまりは、笑二さんがインタビューで語ってくれていたところの「大好きな歯ごたえのあるネタ」なんだろうなと思ったのです、「お直し」は。それにまんまんと乗せられて楽しまされたのだ、我々観客は。あぁ、なんて愉快痛快。家元の「鼠穴」に通じるものがあるね。将来、笑二さんの代表作になったりして。


笑二式「お直し」では花魁と牛太郎がそれぞれ「夕霧」と「半次」。訳あって、半次も最後の最後で人として目が覚めるのだが、笑二さんの2年間はここで完全に覚醒したと確信した。


さらに最後の最後に、「お見立て」(花魁部屋が舞台のネタ)に登場する喜助と喜瀬川花魁も登場する(ネタ的な)豪華さ。満腹感。けど「too much」感(やり過ぎ、盛り込み過ぎな感じ)は一切ない。


聞いてよかった。また聞きたい!と思った「お直し」は初めての経験。


現代的なギャグ(いわゆるくすぐり)を入れ込むのではなく、現代性(いわゆるカタカナ語)を入れ込むのでもなく、古典の世界観を崩さずに、古典落語、江戸の世界のキワキワに踏みとどまり、その中で、その縛りの中でお客を笑わせていく才能、手腕。


説明的になり過ぎない(ネタの世界の)説明、言葉選び、噺をつるんとさせない程よいブラック性、「ここが要らない」とぶった切る勇気、「ここがネタの核心部分」と見つける着眼センスと、見つけたら徹底的に唯一無二の自分だけのネタに仕上げていくプライド。


そりゃお客さんが世界に入り込むし、ストーリーについてこれるし、笑いも起きますわ。


次回は2/19(火)。「崇徳院」と「井戸の茶碗」のネタ出しで。



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