11/01 林家たい平主任興行@鈴本演芸場 11月上席夜

11/01 林家たい平主任興行@鈴本演芸場 11月上席夜

 

橘家かな文:開口一番「たらちね」

春風亭三朝:「芋俵」

ストレート松浦:ジャグリング

二ツ目昇進 朝太郎改メ春風 一刀:「真田小僧」

春風亭正朝:「狸札」

林家楽一:紙切り(坂本龍馬/パンダ/春風一刀/ゴジラと戦うドラえもん)

古今亭菊丸:「時そば」

橘家圓太郎:「化け物使い」

─仲入り─

伊藤夢葉:奇術

隅田川馬石:「浮世床(夢)」

林家あずみ:三味線漫談(長崎ぶらぶら節/お清しゃもじ/奴さん)

林家たい平:「猫の災難」

 

 

 

林家やまびこさんが叩く太鼓の中、開場。そして入場。今夜ばかりは、俺のお目当ては一刀さん。

 

開口一番はかな文さんで「たらちね」。

 

お次は一刀さんの兄弟子・三朝さん。「芋俵」。

 

今夜の客席は大人しい。数的にも質的にも芸人泣かせのムード。空気軽くないし、固い…。

 

それを打破したのがストレート松浦さん。寄席初、落語初の客が多かったのだろう。わかりやすい芸が客席の空気を徐々に(声を出して笑っていいんだよ)な空気に変えていく。寄席のこんな感じも俺は大好き。ライブだわぁ~ってビンビンに感じるから。生きてるって素晴らしい!

 

マジなのか演出か。それはさて置き。松浦さんはピンマイクを外して客席に語りかける。

 

「これから出てくる春風一刀さんは、今日が二つ目の初高座。みなさん、盛大な拍手で迎えてあげてください。『そんなに歓迎したくない。寄席の厳しさを教えてやる』というのであれば、一切の拍手ナシというのも、アリです」(確か、そんな感じ)

 

いいっすなぁ。こういう先輩からのバトンの渡され方。俺は一刀さんの真打披露興行@鈴本にも来よう(いつだろう?何年後?)。そして、この日のことを思い出して泣いたり笑ったりするのだ。

 

で、18時。二ツ目昇進 朝太郎改メ春風 一刀さん登場。纏ってきたのは黒紋付きの羽織。だけじゃなく、初々しい緊張感。これが伝わってくるところがザ・寄席だし、ベテランの師匠方が纏えない空気。

 

楽屋口から「待ってました!」の掛け声。(今日の客に「大向う(おおむこう)」は居ないだろう)との判断かな。俺も掛けたかったけど、なかなかどうして。前の方の席だと、なおのこと掛けにくい。その分、たくさん拍手した。

 

ストレート松浦さんがほぐした空気(とはいえ、正直、客席は完全に温まってるとは言えなかったが)の中、軽い自己紹介の後、「小児は白き糸のごとし…」。おお!真田小僧ですね。先日の取材では…(これは取材上の秘密)。

 

一刀さんの高座を聞いていて、(やっぱ落語家は声だな)と改めて思った。自分好みの噺家さん=声の相性(好き嫌い)ではないかと思うのです。そういう意味において、落語は聞くものであって、見るものではないのかもしれない。極論すると。

 

で、肝心の一刀さん。口調、口跡が、ともかく俺好み。耳にすーっと気持ちよく入ってくる。セリフがはっきり聞き取れる。早口過ぎない。特に鼻濁音が心地よい。

 

単純に声がきれいとか、滑舌が良いだけではない“何か”がきっとあるのだと思う。大げさな表情も、仕草もしない。妙に落ち着き払っている高座に、普通の二つ目成りたてさんとは違うものを感じました。

 

面白かったです「真田小僧」。惜しむらくは客席。やっぱり落語初、寄席初、真田小僧初の人が多かったような気がする。三朝さんの「芋俵」もそうだったけど、真田小僧をサゲた時に、(シーン・・・あぁ、あぁ、あぁ、そういこと!?)みたいな空気が背後から流れてきましたもんね。もちろん、そういうのを凌駕していく噺家の技量実力というのもあるのだろうけど。

 

がんばれ!一刀さん。今はまだ小刀かもしれないけれど、将来、名刀になると信じています。

 

新星の後は大ベテランの正朝師匠。落語初、寄席初のお客様には、噺家=年配の人、というイメージがあるのだろう。なんか正朝師匠が登場した時、客席全体がほっとしたように感じた。老獪に「狸札」。

 

紙切りの林家楽一さん。正直、俺は狙ってた。「春風!」というリクエストを。そして春風に頭を悩ませた結果、春の桜の花吹雪かなんかを切ってくれることを!!!

 

困った挙句、楽一さんは「春風一刀」を切り出してくれた。希望、予想とは違ったが、まぁ、結果オーライか。正直、正楽師匠なら…、二楽さんなら…と思ってしまったが。

 

菊丸師匠は「時そば」。蕎麦を喰う仕草よりも、師匠のは、蕎麦汁を啜るときの方が断然美味しそう。こんなにリアルに美味そうに啜れる人は、そういない。

 

ここまで来てようやく俺自身の緊張もほぐれた感じ。圓太郎師匠は「化け物使い」。現代の要素も巧みに交えつつ、客席を完全にコントロール。安心安全安定の見事な高座。寄席だから仕方がないけど、一つ目小僧でサゲ。大入道、のっぺらぼうまでフルサイズで聞きたくなった。11月27日(月)の「圓太郎ばなし」@人形町日本橋社会教育会館ホール、予約しちゃおうかな。11(土)の渋谷らくご(立川志ら乃 雷門小助六 三遊亭遊雀 橘家圓太郎)もいい顔つけ。

 

今夜の仲入りは俺にとっては撮影タイム。くがらく撮影班として一刀さんの写真をぱしゃりぱしゃりと。

 

明けて夢葉さんの奇術。久しぶりに見たけど、相変わらず面白い。伊藤一葉ファンだった俺としては、こういう芸の人大好き。話術奇術の素晴らしさよ。奇術しないでもいいから、ずっと話芸を聞いて居たくなる。話芸だけでもお金取れるでしょ充分。

 

馬石さんは「浮世床(夢)」。以前見たのはいつだったか。志ん吉さん同様、変な外連味が消えてて、良かった。手の長さ、掌の大きさも気にならなかった。逆に形が良かった。すらりとスリムで手足が長い大きなからだの噺家さんには悪いけど、スタイルの良さがマイナスに働く時ってあると思うの、あたい。でも楽しかったです「浮世床(夢)」。

 

初めて聞いたあずみさん。「お清しゃもじ」という唄も初めて聞きました。面白い唄ですね。また三味線習いたくなっちゃった。

 

トリのたい平師匠は極々軽い笑点マクラから、貫禄の「猫の災難」。違うだろー!とか築地とか、。圓太郎師匠同様、現代の話題・要素も巧みに交えつつ、こちらも客席を完全にコントロール。素面から徐々に泥酔ししていく熊五郎、お見事。

 

客の誰もが「帰りは蕎麦(時そば)か、刺身で日本酒(猫の災難)だな」と思ったに違いない。寄席万歳。落語万歳。

 

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